「友達も家族もみんな一緒」とか
「すべて行き当たりばったり」とか
面白い生活があると思いました。
少しぐらい菌がいようとそこら辺の溜まり水で手を洗って、もち米を握る方が、殺菌剤のついたウェットティッシュで拭いた手で握るよりは安全かも、と今では思う。
とてもワイルドな農家の生活ですが、考えさせられることも多かった。
この本の中の少年少女たちの遊びがとても楽しそうで幸せそうでした。
目次
タイで農家の嫁になった人
著者は森本薫子さん、1971年生まれ、埼玉県出身。
アメリカの大学で国際経営学を学び、
大学卒業後アメリカで1年間働いてから日本に帰国。
マーケティングリサーチ会社に入社して、ほど毎日終電、タクシー帰り、
休日出勤当たり前のものすごく忙しい会社だった。
３年勤務して退職。
日本国際ボランティアセンターという日本のNGO
「タイの農村で学ぶインターシップ」に参加して
タイで農村開発などの研修に参加した後
日本国際ボランティアセンター（JVC）に就職した。
自然農業研修センターの研修生であった今の夫と結婚して
JVCを退職、東北タイ（イサーン）の農村暮らしが始まった。
本書の初版は2013年5月20日である。
村の食生活
- 野菜・・・イサーンの地元野菜、日本人が見てわかるような野菜はほとんどない。やたらに苦かったり酸っぱかったりする。
- 虫・・・・自然くらし＝野生生物との共存、夜の農園には虫や蛙の鳴き声がサラウンドで鳴り響く、ジュラシックパークみたいに恐竜が出てきそうな効果音で溢れてる。イサーンでは虫を食べる、コオロギ、イナゴ、セミ、バッタ、タガメ、カミキリムシ、タマムシ、カブトムシ、アリ、トカゲ、ヘビ、サソリ、様々な蛾のサナギなど、油で揚げたり、塩レモングラスなどで味付ける。イサーンの農村では材料を買って揃えて作った料理よりも、捕まえて、さばいて、と最初から始まる料理の方が大人気だ。
- 水・・・・タイの農村では飲料水として雨水を利用する。それでお腹を壊した人は一人もいない。水浴びの水は大きなカメにボウフラやタニシが泳ぐ茶色い水でする。ちょっとでも溜まった水があればそこで手を洗う。濁った水で洗う食器、知らない人とも使い回しのコップ、最後にいつ洗ったかわからないタオル。大雨で洪水状態の道路で魚を捕まえる、イサーンでは恵みの雨、歓喜の雨、興奮の雨なのである。
- 牛・・・・イサーン人にとって牛は食、収入、趣味と様々な意味を持つ重要な存在。祝膳には生にく、生血、胆汁まで使う。生肉を食べるとお尻から”回虫、ギョウ虫、条虫などの寄生虫”が出てくる。人に寄生するものは深刻な害はないらしい、アレルギーになりにくい体質を作る、寄生虫が少なくなった最近の日本では、アトピーや花粉症が多いという研究もあるそうだ。牛のなま肉、タイに行って生にくラープを食べなかったら絶対に損です、あなたの食の世界が広がるでしょう。
村の暮らし
- 時間・・・「魚を捕まえる前に火を起こしたら、魚が捕まらない」「出産前にベビー用品を用意するのは縁起が悪い」という言い伝えがあるように、タイでは事前の準備をしない、その時になって準備ができてなくて待つことになってもその時間を「無駄」とか「効率が悪い」と感じる人はいない。何もしていない時間、があるから何かあった時にすぐ手を貸すことができる。
- 付き合い・・友達も家族もみんな一緒。すべて行き当たりばったりで突撃訪問。「自分のもの」と「人のもの」を区別しない仏教的な考えを持っているので、借りたら返す、という感覚があまりない。モノやお金の貸し借り、鬱陶しい噂話などは家族、親戚、村内での無償の助け合いとセットになっているので、どちらかひとつだけという単品注文はできない。うっとうしいこともあるけどなぜか安心する。将来の自分よりも今の他人を思う気持ちがあるのも確かだ。
あとがき
ここでは生活に必要なこと、生きていくのに必要なことにしっかりと時間をかけられる。それが快適だったりする。
子育ては、半分は「自然」が勝手にしてくれる。周りの人がしてくれる。
いいこともあれば大変なこともあるのは誰でも同じ。
ここで暮らすことになったのも、宇宙と月の動きで決まったことなのだと思うとすんなり受け入れられる。
タイ行ったらこれ食べよう!: 地元っ子、旅のリピーターに聞きました。
- 作者: 白石路以,美濃羽佐智子
- 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
- 発売日: 2016/01/13
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
