結婚ってなんなんだ!と疑問に思うことがあります。
教科書がないし正解もわからないし、
なによりも誰も本当のことを言わない。
とにかく結婚している人が幸せそうに見えない、
そのくせ、結婚した方がいいよ、っていうし・・・
山口先生がQ&A式で明快に答えてくれてます。
質問:結婚はなんのためにするのか?
結婚というのは「病めるとき、貧しいとき」に一気に路上生活者に転落しないためのセーフティネットです。安全保障契約です。
だから、自分は永遠に病気もしないし、怪我もしないし、失職もしないし、いつでも好きな時に好きな人とセックスできると思っている人は結婚なんかする必要がないです。
自分が「はふ〜、助けて〜」という手も足も出ない無防備状態の時に配偶者には結婚契約の履行をせまルことができる。結婚式の時に病める時も貧しいときもって契約完了してますからね。
そうして初めて「ああ、結婚しておいてよかった・・・」と思える状況になるわけで、
それまでは日々の努力で結婚生活を支えていくのです。
質問:なかなかいい人が見つかりません。どうしたら自分に合う、良い結婚相手と出会えますか?
答え:「もっといいひと」は現れません
結婚しちゃえばだいたい皆おんなじです、だから結婚は誰としてもいい。
あなたと縁のあった人はあなたに外的要因で似合っている人です。
高望みするのは身分不相応の欲というものです。
質問:結婚式はした方がいいですか?
答え:した方がいい。男女の結びつきという私的な出来事を、公共的な場において公開し、参列した人々に向かって宣言をなすのです。他者からの支援やアドバイスが期待できるのは「私たちの関係は公共的なレベルにおいて承認されたものです」と名乗りをした場合だけです。結婚は神頼みなので儀礼が大切なのです。
質問:結婚すると制約が増えて、何か決断する時の足枷になりませんか?
人と関わりを持つということはいろいろと制限されます。
結婚はしない(しても別居婚でお互い不干渉)
子供は持たない(生まれたらどこかに養子に出す)
親にも関わらない(介護の必要ができたら、どこかの病院か養老院に入れる)
という生き方をすれば誰にも制約されずに生きることができるかもしれない。
でも、この世に無障害、無抵抗で「なんでもあなたの好きにしていいよ」という環境はないし、あったとしたら逆に恐ろしく精神病になりそうです。
学習でも労働でも、どこにでもそれぞれに限界があり、制約があり、負荷があり、義務がある。それとどうやって折り合いをつけていくかが人生の醍醐味でもあります。
質問:他人とうまく暮らすコツってあります?
この人は自分とは違う人だと思っていればいいんじゃないですか。
もっと言えば、結婚生活を愛情と理解の上に構築してはならない。
それよりは「何を考えているのかよくわからない人」がつねに自分のそばにいて、一緒にご飯を食べたり、しゃべったり、遊んだりして、支えが欲しい時には抱きしめてくれる。そのことの方がずっと感動的ではないかと思います。
「よくわからない人」とそれなりの歳月を支え合って過ごすことができたという事実をこそ、むしろ「奇跡的なこと」として、心静かにことほぐべきであろうと思います。
「いま、ここ、わたし」から外へ踏み出すための結婚
人間は成熟するために「いま、ここ、わたし」という閉域から外へ踏み出さなければなりません。
自分の手持ちの価値観や、美意識や、世界観から一歩外へ踏み出すために、
結婚というのは「自分には理解も共感も絶した他者」と共に生活することです。
「おのれの賢しらの及ばない境位」に対する敬意と好奇心がなければ、継続することの難しい試練です。
結婚生活という最小の社会組織を通して、共同体の仕組みを学び、他者とともに生きる術を身につけるのです。信頼したり、裏切られたり、育てたり、別れたり、愛したり、疎遠になったりして大人になっていく。
結婚して人は大人になる。
大人になってはじめて、結婚してどういう「いいこと」があったのか、事後的・回顧的にわかる。順逆が転倒したかたちになっている。
結婚する前に、結婚することの意味や有用性を訪ねる人は、
小学校の入学前に
「勉強するとどんな『いいこと』があるの?」と聞く子供に似ています。
もし、この時に「いいこと」があれば勉強するし、なければしないという言い分を子どもに許してしまえば、子どもは6歳児のまま成長を止めてしまうでしょう。
今より幸せになるために結婚してはいけません。
不幸にならないように結婚するんです。
山口先生ありがとうございました。
文体が軽妙で洒脱でとっても読みやすかったです。
結婚についてとてもよく理解できました。
結婚は成り行きですればいいんですね。