Chico style

a day in my life

【人生相談】再婚相手の10代の子供と、うまくいきません。

回答「連れ子との関係は『おまけ』。食べても食べなくてもご飯だけつくって、あとはながしましょう」回答者 三砂 ちづる by幻冬舎プラス《かけこみ人生相談》

こんにちは~あんかけ(@guam345)でーす。

 

f:id:chizukoike:20160918190159j:plain

人生相談の質問も回答も時代とともに変わる、ということを思います。

昔なら、再婚相手の子供は神様で文句のひとつも言うと「後妻の継子いじめ」とかの一言で粉砕されて、こんな風に本心を表に出すことは憚れたと思います。

また、回答も「子供様に合わせて貴女が譲って、我慢してください、20才過ぎたら結婚して家を出ていきますから、それまでの辛抱です。」とかになるのではないでしょうか。

これから、こんな相談も増えるのではないでしょうか、それにしても、この回答は納得できて、スカッとした答えだと思います。

 

◎相談者 (会社員・四九才・女性・栃木県)

40代の再婚者です。再婚により子供が二人できました。夫の連れ子で女の子と男の子、今は15、16才です。結婚して間もなくは女の子が特にわたしになつき可愛かったのですが、最近は反抗期なのかほぼ無視されています。制裁として、料理とか一切放棄しようかと思っているのですが、これはやりすぎでしょうか?

夫は家族というか子供を大切にする人で、それは私より子供が優先されるということを意味し、さらに子供が知って私を見下します。

子供から見た家のランキングは、夫、子供、猫、わたしの順です。

猫以下です。もう我慢も限界、耐えられません。

子供たちと知り合って4年です。可愛かったのは最初の2年ぐらいで、あとはちっとも可愛いと思えません。

成長したあとで私に会いに来ることもないだろうと思うと、継母業をするのが馬鹿らしいと思います。

日本では再婚で継子ができたカップルの離婚率は67%だそうです。

夫のことは非常に愛しています。別れたいとはおもいません。

しかし、この子達には遺産(私の稼いだ分)は渡さないつもりです。

 

ひどい継母だと思いますが、これが現実でして、それでも笑顔で継母業を続けるべきなのか、それとも夫と別れて子供のいない人を選ぶべきなのか・・・最近、ちょっと行き詰っています。

 

◎お答えします(回答者 三砂ちづる)

ご夫君のことをとても愛していらっしゃるんですね。そして彼にも愛されておられるんですね。

再婚して、新しい伴侶と出会い、心から愛し合っておられる。

本当に素敵なことです。

どうぞ、どうぞご夫君を大切にして、ふたりで深く愛し合って、これからの人生をあゆんでいってください。

貴女の幸せは、ただ、そこにあります。

 

あなただけでなく、根源的には、幸せって、そういうものだと思う。

愛してる人とともに暮らし、いとしみあって毎日を送る。

それだけが大切なことであって、そんなに愛し合える人に出会えたあなたは、とても幸運な人です。

 

いいですが、子供のことはそんなに深刻に考えることではありません。

「深刻に考えることではない」とは、子供をないがしろにしていい、とか、ひどい目にあわせてもいい、とかでは決してありません。

あなたは立派に家の中で、子供の世話をなさっているのだと思う。

そのままでいいと思う。

 

「深刻になることはない」というのは、

あなたにとって大切なのは、ご夫君との関係であり、子供との関係は

「おまけのようなもの」に「すぎない」と思うからです。

愛するご夫君との関係性こそがあなたにとって、最優先であり、そのほかははっきり言って、「流していればいいこと」です。

 

15,6才のお子さんですか?

同じぐらいの年の子供のいる女友達に相談してごらんなさい。

自分で産んで育てた子供であっても、15,6才の頃って本当に大変なんです。親と口をきかなくなったり、妙な反抗をしたり、素行が悪くなったり、罵詈雑言を家族に吐いたり。

体も心も大人になろうとする思春期中期、自分自身さえ持て余してしまうような年頃なのです。

ご自身もそうではありませんでしたか?

 

ましてや、あなた、自分が産んだわけでもなく、育てたわけでもなく、子供たちが大変になる年齢になって、突然現れた「他人」なわけです。

しかも、あなたは、自分たちにとってすごく大事な存在であるお父さんを「とっていった人」で、お父さんの愛情を一身に受けています。

子供たちにとって、あなたは気分のいい存在ではけしてないわけで、うとまれて当然です。

そのことがあなたを深く悩ませることになるのも、むべなるかな(もっともなこと)。

 

まあ、あなたはとても大変だと思いますが、ちょっと視点を引いてみれば、「すごくよくある話」です。

 

しょせん、「おまけの関係」と申し上げました。

「おまけ」ですから、もうあまり気にしないでください。

最終的に関係性がうまく作れなくても、あと10年もたって彼らが自立していったら、そんなに会わなくてもよくなります。

「嫌い」のままでも、まあ、「おまけ」なんですから、

それで結構忘れることがき出ます。

 

でも、面白いもので、人間の関係も変わっていくことがあります。

子供がもっと大人になり、あなたという人を客観的に見ることができるようになり、まあ、ふと気づけば

「親父のことを俺たちが面倒見なくていいのは、この女がいるからだよな」くらいで、さらにもっと経てば「懐かしい人」とあなたのことも思ってくれるようになるかもしれない。

 

そんなことになってくると、あなたもまた、この人たちを「悪くない奴ら」と思えるかもしれない。その辺はわかりませんけど、しょせん

「おまけの動向」ですから、どうころんでも、まあ、かまわないわけです。

 

私自身の知っている限りでも、一緒に住もうが住むまいが、最初から再婚相手の10代の子供とすごっくうまくいったというケースを、ほどんど知りません。

離婚して、その子供たちがその片親とすんでいるとき、新しい再婚相手は、子供たちにとって唯一の拠り所だった、その片親を「奪っていった」人ですから、気持ちのよい人であるわけがない。

 

それでも、子供たちは子供たちのままでいるわけではなく、彼らも恋愛し、仕事をし、結婚したりしなかったりして、人生の機微を知るようになり、まあ、一言でいえば「大人」になって、それなりに、片親の新しい配偶者とも付き合っていけるようになるものです。

 

焦って今、結論をだすことはありません。

Take It easy(気楽に構えて大丈夫!)です。

ご夫君の配偶者はあなたなのです。

ご夫君と毎晩一緒に寝るのはあなたなのです。

ご夫君を愛し、また愛されているものの自信に満ちて、どん、とかまえ、できれば、毎日、おはよう、おかえり、と挨拶だけはして(返事が返ってこなくても)「おまけ」の動向は気にしない。

美味しいご飯だけは作ってやって(食べても食べなくても)

「おまけ」の動向は気にしない。放っておけばいい、と私は思います。

 

彼らが食べなければ、あなたが、次の日に食べればよいだけです。

食べきれなければ、もったいないけど捨てちゃいましょう。

できれば、ご飯を作ることだけはおすすめします。

言い方はわるいですけど、「餌付け」って大事なんで・・・。

「家に帰ると美味しいご飯がまっている」は、いつもお腹を空かしている年代の人たちにとっては、作った奴が嫌いであろうが好きであろうが、ありがたいこと、となりうる可能性があるから。

 

毎日、毎日、ご夫君と仲良くして、あなたの想いも少しづつ伝えられるといいですね。

ご夫君に子供たちの悪口を言うのは控えることをお勧めします。

どんな子供であれ、他人に子供のことを批判されるのは、親にとっては自分を批判されるより、切なく悲しいことなのです。

愛しているご夫君を悲しい目に合わせたくないですよね。

 

上手に表現を考えて、ご夫君や子供のことを立てつつ、あなたの思いを伝えるのです。それを修練と思ってやってごらんなさい。

そういうコミュニケーション能力のついたあなたは、あと10年後には職場でも家庭でも深い信頼を勝ち得る、腹が座り、周囲を和ませる、かけがえのない50代女性になっ

ておられることでしょう。

 

ご夫君に愛されている自身に満ちて、今日も幸せでいてください。

 

回答者三砂ちづる

津田塾大学教授

1958年山口県生まれ。兵庫県西宮市で育つ。京都薬科大学卒業。ロンドン大学PhD(疫学)。母子保健・国際保健の疫学専門家として、約15年にわたりブラジル・イギリスなどで研究。現在は津田塾大学国際関係科教授として、多くの女子学生を指導。2004年刊行の『オニババ化する女たち~女性の身体性を取り戻す~』(光文社新書)がベストセラーに。その後も、妊娠・出産・両親との関係・子育て、身体の知恵などをテーマに、女性の心と体を救う著作多数。近著に『太陽と月の物語』(春秋社)、『女子の遺伝子』(よしもとばなな氏との対談、亜紀書房)などがある。