「ゴーン・ガール」Amazonプライムで洋画鑑賞
うちの長男君が離婚して半年がたった。
いまどき、離婚はめずらしいことではないけど、
自分ちのことになると何かと感慨深いものがある。
たった3年前のことよ、突然長男君が美しい聡明な年上の女性を連れてきて、
「籍いれるき」というもんだから、親としてはやるべきことはやってやらねばならない、と嬉々として結婚式、新居入居、正月の焼肉パーティー、など近所に自慢しつつ忙しくつくしたわけよ、
そのうちご懐妊になって、老親としては幸福の絶頂感を味わいつくして、身ごもった、乳児をつれた女の人を大事に大事にせっしたのさ。
長女が40歳で未婚だから、唯一無二の2歳に満たない初孫に歓喜乱舞の日々を過ごしていたある日。
「離婚したき」と長男君、なんでも半年前から離婚届に判を押させられていたとか。
機が熟したと見たか、ついに役場に提出したのだとか。
突然いなくなった美しい母娘、新居に一人残された長男君、養育費を毎月10万円孫名義の通帳に振り込む約束した老親。
悪いのはぜんぶ長男君なんだから、美しい母娘が元気で幸せに生きてくれていてさえすればいいんですよ。
「ゴーン・ガール」
2014年米映画
原作・脚本はギリアン・フリン、デヴィット・フィンチャー監督、
ベンアフレック、ロザムンド・バイク主演
2012年のニューヨークで若い男と女が知り合いました。
女のほうはハーバード大学卒で著名な絵本作家の親を持った裕福な家の娘。
男のほうはどうってことないいたって普通の男、ベン・アフレックって普通の男っぽい、を上手に表現できるひと。
☆日本だとハーバード出てる女が自分よりレベルの下の人と結婚しなさそうに思うけど、アメリカではそういうのは全然かんけいないのかな。
結婚3年目、恋愛期間は終わり本当の結婚生活に入る時期である、別れる人はここら辺から離婚を考える、帰るところのある人は離婚を選択、ない人は別れない。
不況のために夫婦そろって失業した、
女のほうは両親に財産分与をしてもらった。
夫のほうは親が高齢で介護が必要になった。
ニューヨークからミズーリ州に夫婦で引っ越すことにした。
田舎で心機一転はじめよう、ということで、両親の家からほど近い場所に広くて洒落た家を買った、女も田舎暮らしに興味をもっていた、家の名義は女で資金も出した。
男は田舎で双子の妹とバーをはじめた、そのほか昼間にライティングの講師のアルバイトも少ししていた。バーの資金も女が出した。
田舎暮らしから5年の月日が流れた。
男は結婚生活と女に興味を失いだらしなく日々を過ごすようになっていた。
二人の生活はしだいに男がしたい時にだけするセックス、なげやりな言葉の暴力、若い女との浮気で流れていった。
女は退屈もしていたが怒りも募らせていた。
私ほどの女をぞんざいに扱うなんて許せない、若い巨乳の女とやってるのも気に入らない、私は私の人生を投げやりにはしない。
それで、女のとった行動は・・・
5回目の結婚記念日が近いある日、男が自宅に帰るとひっくり返ったテーブルとソファー、荒れた台所、そしてその日を境に行方不明になってしまった妻という設定で物語が始まります。
夫は警察を呼んで事情徴収をうけて、しばらくの間妹の家に身を寄せていました。
警察の事情徴収に満足に答えられない男、友達はいたのか、普段なにをしていたのか、血液型は何かとも答えられずしろどもどろの男。
家宅捜査の結果、台所から微量の血液が発見されて、事件性が高いということで、翌日女の両親とともに記者会見を行いました。
著名な絵本作家の娘であり、ヒット絵本のモデルだった妻の失踪事件は人々の関心もたかく、多くのマスコミを集め過熱ぎみに報道されました。
男にはすきがありすぎました。
調べていくうちに、男には若い巨乳の愛人がおり、女のクレジットカードで購入した高級品の数々、最近引き上げられた女の生命保険の金額、女の金で始めたバーもうまくいってない、---すべてのことが男を犯人へと導く証拠品のように明るみに出てきます。
全く身に覚えのない彼は当然身の潔白を訴えますが、女が妊娠していた事実が明るみに出るとますます不利な立場においやられました。
男は身の潔白を証明しようとして弁護士を雇いました。
男は実は子供が欲しかったのです。
そのために不妊治療までうけていたのに、乗り気でなかったのは女のほうでした。
男が、連絡がなければ精子を破棄するとのクリニックからの手紙を見せても無関心だったのになぜ・・・。
執拗に家を取り囲むマスコミから逃げるようにして、妹の家の横にある薪小屋にかくれました。
そこで見たものは、身に覚えのないクレジットカードで買った高級品の数々と女からの5回目の結婚記念日のプレゼントが・・・
そのプレゼントとは、棒をもった男と女の人形、添えられた女の手紙、
全ては女の自作自演だったのです。
怠け者で浮気者の夫を監獄へ送るために、周知に準備を重ねた彼女の計画的犯行でした。
男は死刑を回避するために弁護士の助言をすべて受け入れます。
テレビの前で男は自分の非をすべて認めて、一切の言い訳をせずひたすら妻の無事を祈ったのです。
最終章
突然血まみれで女が男の元へと帰ってきました。
女を優しく抱きしめる男でしたが、マスコミに見えない部分では彼女のことを口汚くののしっています。
その言葉にも表情を変えない女は、警察の事情徴収(初恋の男を殺してきた)にも自分の正当防衛を弱弱しくもしっかり主張しました。
女は悲劇のヒロインとして、奇跡の成果をはたしたストーリーを背負って帰ってきたのです。
彼女の本性を知った男は離婚を決意しますが、しかしテレビで彼女への愛を語った彼が傷ついて帰ってきた彼女と離婚するリスクは計り知れません。
証拠もない今の状況では女を誰も裁くことはできないのです。
結局男は、息をひそめるようにして暮らしていくしかありません、とうぜん寝室は別で寝るときには鍵をかけます、帰ってきて以来さわったことはありません。
そんなある日、女は陽性反応の出た妊娠検査薬をプレゼントしてきました。
男は衝撃を受けて言い放しました
「確かに君のことを愛したよ!でも俺たちは互いを支配し、憎みあうだけだ!結局は互いに傷つけあるだけだろ!?」と激怒する男。
そんな男を冷ややかに見下しながら女は静かに言い放つ。
「それが結婚よ」
身に覚えのない男は愕然としますが、女は不妊治療で採取した精子を使って妊娠したのです。
☆昔は妊娠は男にコントロールされていたが、現在では妊娠は女の胸先三寸できまる。
その言葉を聞いた瞬間、男の全身の力が抜け落ち、抵抗する気力を失って女の言うとおりにインタビューに応じることになった。
「子供ができたの」と嬉しそうにカメラの前で微笑む女とは対照的に、死んだ魚のような目で一点を見つめる男。
二人の姿を映しながらドラマは終了。
こうして男と女の「人生をかけたパワーゲーム」は、最終的に女の圧倒的勝利で幕を閉じたのであった。
これにより男の人生は女から逃げられる可能性を永遠に失いました。
マスコミにも妊娠を発表し、カメラの前でにこやかに微笑みあう二人。
男の人生を完全に支配すること。好きなようにはさせない。
自分を悲劇のヒロインに仕立て上げて、男を窮地に陥れて、そのあとに男を救う。
そして極めつけは、人工授精での妊娠をする。
永遠に男が女から逃げ出せないようにね。
結婚はパワーゲーム、妊娠した女が勝つようにできている。