三砂ちづるのかけこみ人生相談(幻冬舎プラス+)が面白いのでシェアします。
「子供が可愛くないと心底思います」
回答「あなたはすごくよくやっています。可愛いと思わなくて結構です」
こんにちは~あんかけ(@guam345)でーす。
女なら母性本能があってあたりまえ、と強制されていますが、女同士で話していても、
母性本能は赤子を育てているうちに芽生えるもので、最初から備わってるわけじゃないよね~、という話はよく出てきます。母性本能があるんだから子供を可愛がって当然、とか押し付けられると、ちょっと違うんだよね~、っていうのがあってー。
三砂先生なんと答えるでしょうか。
ーーーーーーまず相談です(派遣社員・30才・女性)
疲れてしまいました。
2歳半の娘と45歳の旦那をもつ30歳の派遣社員です。旦那は自営業で、土・日も仕事で平日も日付けが変わってから帰ってきます。基本、仕事ですが、飲みに行って朝の5時6時過ぎまで帰ってこないこともあります。
私のほうは、子供が幼いので今は時短勤務(13~18時)しています。
子供さえいなければ、思う存分好きな仕事をできるのにと思います。
周りの人が残業しているのに自分だけ定時で帰り、毎日子供のごはんを作って食べさせたり、お風呂に入れたりするのが苦痛です。
仕事終わりに飲みにも行けないので、社内のコミュニケーションもそれなりにしかとれません。子供ができる前はバリバリ働いて給料もよく、社内でも社交的でいろんな人と話をし、飲みにもいったりしました。
子供が可愛くないと心底思います。この子さえいなければ・・・・・と。
かといって、暴力をふるったり、食事を与えない、世話をしないというわけではなく、仕方がないから、世間体があるから、世話をしています。
土・日は子供と2人で出かけます。公園や買い物に行きママ友とお出かけもします。
みんな周りは子供が可愛い可愛いと言っているので、誰にも相談できません。
どうしたら、子供を可愛いと思えるのでしょうか?--------------
ーーーーーー◎お答えします
あなたはすごくよくやっていると思います。世間体があるから、であろうが、他人が気になるから、であろうが、姑がうるさいから、でも、なんでもよろしい。
虐待せず、毎日きちんとご飯を作り、お風呂に入れて、あなたはお子さんの面倒をみておられる。
お休みの日には子供とお出かけもしている。ママ友とお付き合いもしている。
あなたはすごくいいお母さんです。それで、上等です。
人間は誰もみな、ダークサイドを持っています。慈母のような顔をしている裏で、同時に鬼の顔も持っています。
人に見せたくない家族にも知られたくない、そんな「裏の感情」「裏の顔」がある。
自分でも認めたくない、自分でも知りたくないダークなものが、心の中に渦巻いている。でもみんなそれなりの立場があるため、そういうことは表に出せません。
親となった以上、自分の気持ちがどうあろうと、ダークサイドは自分だけのものにして、表面を取り繕うしかない。
生まれた子供は母親が大好きで母親が頼り。母親を求め続ける。
1人の人間にとってそんなにかけがえのない、そんなに必要とする存在は、もう絶対にないというくらい、子供は親を求めます。
親から「可愛くない」などと言われたら、子供は生涯残る傷を受けます。
だから親は、どんなダークサイドだろうが、子供にそれを悟られないようにして、とにかく取り繕わなければならない。
それで、耐えられなくなったら、こうやって、匿名の相談でもするのがよいのです。
お会いしたこともないあなたですが、わたしはあなたの気持ちを受け止めてあげる。
可愛くないんだよね、子供が。仕事をバリバリしたいんだよね。
あなたは子供がいないときのほうか輝いていたんだよね、よくわかるよ。
えらいよ、あなた。
周囲に愚痴もこぼさず、子供にあたることもせず、午前様ばかりの夫にも我慢して、ヘンなカウンセリングに通ってお金を浪費したりせず、黙々とできる範囲で、仕事もしている。そして、自分のつらいことはこうやって、匿名でそっと相談する。
あなたは自分のつらさと付き合える、本当の意味で強い人だ。
子供が可愛くないと思ってもかまいません。
可愛いと思わなくて結構です。
あなたの感情はいまのままでいい。
そのまま、虐待することなく、料理を作り続け、子供と出かけ続け、ママ友と付き合い続け、鬼のような感情は、あなただけのものにしておきなさい。
そして、またつらくなったら、こういう匿名相談にでもメールしてみたらいいのです。
そうやって、周囲にも愚痴らず、子供にそのような気持ちを微塵も感じさせず、黙々と母親業をやっておられればよい。
そのようなあなたのひっそりした「我慢と努力」は、あと20年もたてば、温かな光のようなあなたの魅力となって、周囲からの敬意を、そして子供からの愛情を、
あなたに獲得させてくれます。
おつかれさまです。母親ってつらいです。でも今日もがんばって子供をお風呂に入れよう。夫は帰ってこなくても、家の掃除はしておこう。
それでいい。あなたはすごくよくやっている。わたしはあなたの努力をよくわかっています。こころより敬意を感じます。
平凡で単調でいつまで続くとも知れない幼い子供との日々をどうか、そのまま乗り切ってください。
未来の輝くあなたが、いまのあなたを応援しています---------------
お母さんどうして話をしていて、「実は子供のこと好きじゃないんだよね」という話は聞いたことがないわけじゃない、でもみんな、やらなきゃいけないから一生懸命やっている。もちろん、子供のこと大好き、子供は私の命、ってお母さんもいるけど、そっちのほうが問題だったりする。
「我慢と努力」が20年後のあなたを輝かせて、周囲からの敬意と子供からの愛情を得る。っていうのに納得します。50,60才過ぎた女のひとの魅力って「バリバリ仕事して優雅にやりたいことやってきた」ひとより「我慢と努力」のひとのほうが深くて大きな魅力があるように思う。これは、「高知の模範嫁」を取材したときに感じたこと。
すっごい苦労をしてきた人で、それを乗り越えてきた人って、年取ってすっごく魅力的だった。苦労してない人は60過ぎても背中が「お嬢様」してる。
しなければいけないことは、だまってやりつづけたらいいのかな。
ということで、この回答におもうことのあるあんかけでした。