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秋の夜長に読む【太宰治】ゼッタイの4冊

こんにちは~ あんかけ(@guam345)でーす。

暑い夏も終わり、人肌恋しい秋の夜長に

太宰を読む、っていうのはどう?

 

あんかけおススメの4冊を、飲み会を2回キャンセルして読めば

いい男になれるかもしれない。

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プロフィール

太宰治:1909年-1948年(満38歳没)

本名:津島修治(つしましゅうじ)

生い立ち:貴族院議員の父を持つ六男坊として、青森県の津軽に生まれます。

最終学歴:東京帝国大学(現東大)仏文科中退

それからは井伏鱒二に師事し、小説活動をします。

美知子と結婚しますが、最後は愛人と入水心中で幕を閉じます。

1、津軽

 

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太宰治は津軽の豪農の出であって、幼い時から乳母とか使用人が何人もいる家で育った。それを「選ばれしものの恍惚と苦悩」なんて言っていた。

後に津軽の大物議員にもなる兄たちに頭が上がらぬことでコンプレックスを感じていた。

 

しかしこれが書かれたころは妻美智子と結婚して太宰にしては珍しく、穏やかな時をすごしていた。そんな時に気ままに故郷津軽を旅した時の紀行文が本書である。

 

肩の力を抜いた天才ってものは、すっごくいい文章を書くんだなぁ、と思った印象がある。戦時下の軍の秘密主義を皮肉ったり、軽口をたたき、陽気で明るい太宰の姿がある。

そして、本作のクライマックスは、太宰が母とも慕う乳母「たけ」との再会の場面である。運動場で再開をするんだけど、再開の場面が上手に書かれていて、手に取るように、気持ちが伝わってきて、じーんとさせたりします。

 

2、晩年

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 死のうと思っていた。”

 1作目の『葉』という物語。

この1文から始まります。とても衝撃的。

本書は太宰治のデビュー作です。デビュー作なのにタイトルが「晩年」とは、太宰のコピー力でもあると思っています。当時本気で自殺を前提に「最初で最後の作品」として考えていたのです。初期作品15作を収録しています。

3、女生徒

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ある少女の一日を描いた小説が『女生徒』です。
話のあらすじは本当にこれ!朝起きて学校に行って、帰って眠るまでが少女視点で語られているだけ。

だけど、その文体がとてもかわいくて、自然で、ああるあるなんです。

自分の少女時代は「こんな難しいことを考えていただろうか?」と思ったり、

「あぁ、こんなこと考えたりしたなぁ。」と共感したり、

どこかしら親近感を覚える物語です♪


まだ「白馬の王子様」を信じていた少女から、徐々に「王子様って幻想なんだな」と気付く女性の境界線に居る少女の心理描写がとても面白くておすすめです!

女性ってロマンチックな事を夢見るけれど、現実的な一面もあるなぁと実感する小説です。

 

4、御伽草子

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太宰治の『お伽草紙』は面白いです。

なじみある昔話を、太宰治の独自の解釈で綴ったのがこの小説です。
とっても斬新で、初心者にも読みやすいお話です。

昔話のラインナップは『瘤取り』『浦島さん』『カチカチ山』『舌切雀』の4つの物語。今回は少しだけ『カチカチ山』についてご紹介いたします。

みなさんが知っている『カチカチ山』は、悪戯ばかりする狸に困ったおじいさんを、兎が助けるという話だと思うのですが…。太宰治さんの解釈は全く違うのです!
太宰治さんは、話の冒頭にて『兎は少女。』そして、狸に至っては『兎の少女に恋している醜男(ぶおとこ)。』と言い切っているのです。

どうです?美少女の兎は常々しつこく付きまとってくる醜男の狸に困っている所から、話が始まります。そして最後は美少女に窯で焼かれるんですけど、そのときに狸がさけびます。「惚れたがわるいか!」って。
みなさんの知っているカチカチ山について全く視点が変わってきませんか?話の内容はそのままに、全く内容の違ってくる昔話を楽しんでみませんか。

 

ということで、あんかけ的読書のススメでした。